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暫く、手を握り会ったままで立ちつくしていた。今のこの穏やかな気持ちを、いつまでも感じていたかった。
でも、ようやく空さんと信頼関係を築けたのだから、今の状況を説明してもらわなければいけない。
名残り惜しかったが、空さんに話の続きを促すことにした。
「えっと、貴方が神であるということは理解出来ました。
それで、ここは一体何処で、僕はいったいどうしちゃったんですか?」
空さんは信用できる相手だ。そして彼女が神であるということも理解した。でも、以前として取り巻く状況が不可解なことには変わりない。とりあえず、現状を理解するためのスタートラインに、ようやく立てたというところだと思う。
「申し訳ありません。私が至らないばっかりに、無用な時間を費やしてしまいました。今から一つずつ、お話させていただきます」
「はい、お願いします」
いよいよ、か。
「まずはこの空間についてお話しますね。ここは、『創生の廬』。神が住まう領域。私の仕事場といえば分かりやすいでしょうか」
「え…っていうと、つまりここは空さんの家っていうことですか?」
「そうです」
「こんな何もない場所で、一人きりで…」
改めて見回してみても、見渡す限りの白一色。汚れないといえば聞こえはいいかもしれないが、むしろ寒々しさを感じる。神様というのは、こんなにも孤独なのか。
「世界を管理する存在は唯一無二でなければなりません。ここに存在する神という存在は、常にただ一つです。これは私が神となる前より絶対に破られたことのない理です」
「『私が神となる前より』ってことは、空さんは何代目かの神様ってことですか?でもそれだと、この場所に存在する神は、常に一人だけっていう話と矛盾してません?」
「私は初代より数えて11番目の神にあたります。神の代替わりは少し複雑で、宜しければご説明いしたしますが」
「宜しくお願いします」
今、一番知りたいことからまた脱線しつつあるが、気になったものは仕方ない。
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