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「…通学路?っ!」
その言葉を呟いた瞬間、頭ががんがんと疼き始めた。それと同時に、先程までとは違う記憶が頭に浮かんだ。
「そうだ、此処で目が覚める前、僕は高校に向かう通学路を歩いていた…!」
どうして、今の今まで思い出せなかった!?
「ようやく慣れ始めた高校への通学路。その日はいつもより早く目が覚めて、余裕をもって登校できた」
一つずつ、ゆっくりと記憶を辿る。先に進むにつれ頭痛は激しくなるが、構わない。
「それまでは入学間もないこともあって、周りを気にすることなんてなかったけれど、その日は違った。どんな道があって、どんな建物が建ってるかって、のんびり見回しながら登校してた」
「そして…!」
その先を思い出そうとした途端に、今までとは比べものにならない頭痛に襲われた。全身から冷や汗が流れる。身震いが止まらない。
それでも、この先にある記憶から、目をそらしてはいけない。逃げてはいけない。痛みが全身を襲う一方で、そういった思いが体の内から溢れる。その思いに後押しされるかのように、記憶は湧き出てくる…!
「その途中で、小学生の男の子と女の子の二人組を見かけたんだ。二人はとても仲良さげに歩いてた。多分兄妹だったんだと思う。少なくとも、僕にはそう見えた。なんだか微笑ましい光景で、なんとなくその子達を目線で追っていた」
「でも、何がきっかけだったのかは分からないけれど、二人は急に喧嘩を始めてしまった。女の子の方が泣き始めると、男の子の方はさっさと走って先に行ってしまった」
「見ちゃいけないところを見てしまった、罪悪感。嫌なものを見てしまった、嫌悪感。そういった気持ち悪さから、僕はしばらく呆然と立ち尽くしていた…!
それからっ!くうぅ…」
あと少し、ほんの少しで、全部思い出せそうなんだ!鬱陶しい頭痛はだまってろ!!
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