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「おはようございます。気分はいかがですか?どこか痛むところは?」
何時になく唐突に目が覚めると、見知らぬ外国人が目の前にいた。
やけに流暢な日本語を話すなぁとか、初対面のはずなのにやけに距離感が近い人だなとか、そもそも誰だよこの人?とか。
寝起きとは思えない程意識はしっっかりとしているはずなのに、まともに考えが纏まらないのは、理解し難いシチュエーションに混乱しているということもあったけど、なによりも、目の前の人物がかつて見たこともない程美しかったというのが、一番の原因だと思う。
まず最初に惹き込まれたのは、雲一つない晴天のように青く輝く、その目だった。真っ直ぐにこちらを見据えるその瞳からは、先に感じた空のイメージがそうさせるのか、まるで全てが見透かされているような、そんな錯覚すら感じた。
次に目に入ったのは、先程から何事かを語りかけてくるその唇だった。これまでの人生において、他人の口を意識的に見たことなんて一度もなかったけれど。でも、この目の前の唇からは。耳で声を聞くのではなく、その動きで一音一音を拾うかのように、目を離すことができない。
そして歪みなく美しい線を描く鼻梁に、傷一つなく病的とも言える程真っ白な肌。目元にかからないように丁寧に切り揃えられた、艶やかな光沢を称えた金色に輝く髪。
天は二物を与えないとはよくいったもので、容姿だけで二物も三物も与えられてるんじゃないかと。そう感じてしまう程、目の前の人は美しかった。
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