春よ、来い。

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―――――――――― 「まだ咲かないぞ」 縁側から、兄さんが言った。 僕は寒風吹く庭に立っていた。 梅が咲かないかと待っていた。 「もうすぐ咲くもの、もうすぐ……」 膨らみの小さいつぼみを撫でながら、僕は答えた。
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