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「ああ、最高だった…今日は良く眠れそうだ。ミウも泊まってくだろ?」
「あっ…………帰る。えっと、両親とどれだけ遅くなっても家に帰る約束してきたから。」
「そうか…残念だな。じゃあ連絡先教えろよ。」
シンジは口を尖らせて、拗ねた顔をしながら言う。
少し拗ねた顔が可愛かった。
「私、ライブは手ぶらに近い感じで挑みたいから、あの小さいポーチしか持ってないんだ…携帯入んないから、置いて来ちゃった。」
「番号わかんねえのかよ。」
「うん…覚えてない。」
「そうか…俺、ミウの事すげえ気に入ったからさ。また来月の第3土曜日も、あそこのハコでやるから、絶対に来いよ。ハンカチも新しいの買って返さねえと…ヴィヴィアンの血まみれにしちまったからな。」
「ハンカチはいいって。でも…絶対に行く。」
「今度は楽屋で荷物預かってやるから、携帯持ってこいな。」
「うん。じゃあ、両親が心配するから、帰らなきゃ。」
シンジは少し寂しそうな顔を見せると、またゴシゴシ私の頭を撫でた。
「じゃあな…おやすみ、ハニー。」
シンジは軽くウィンクした。
は…ハニー!?
んー…でもシンジが言うと厭味に聞こえなく、さらりと自然だ。
そして、シンジはキスをしてきた。
やはり、それは雑で苛立ちを感じられずにはいられないものだ。
「おやすみ…。じゃあ。」
私は苦笑いしながらホテルの部屋をあとにした。
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