プロローグ

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1-3 「貧相な髪だ。これも少しどうにかならないものか」  フラウローゼの髪は漆黒。そしてあまりに深いため、濃紺にも見える。  肩に揺れる長さでまっすぐに整えられているが、いかんせん髪の量が少ないので、兄の言うとおり貧相に見えてしまうのが難点であり、本来ならば澄みきった深い青色の瞳も、倣うように沈んでいる。 「いや…です。魔族のところへなど、行きたく…ありません」 「何だと? 誰のおかげで生活ができていると思ってるんだ。女作って出て行った親父の後を継いで商売をここまで軌道に乗せたのは俺だぞ。養ってやっている恩を忘れたか」  兄の手から、妹の髪がさらさらとこぼれ落ちていく。 「そんな……」  それを言われてしまったら、返す言葉はどこにもない。 「わたし、…どうなるのですか」
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