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「ここか」
住所が示す場所にあったのは、白い建物でした。
見ただけで『何か胡散臭そうな実験をしている研究所』と分かる建物でした。
僕は敷地内に足を踏み入れます。
研究所は林の中にあり、日がほとんど当たりません。
初夏だというのに、ひんやりとした空気です。
マイナスイオンでしょうか。
苔むした道を歩いていると、建物の入り口に到着しました。
白衣を着た眼鏡の男性が、笑顔で迎えてくれました。
「こんにちは、便利屋さんですか?」
男性が尋ねました。
僕は名刺を差し出します。
「はい、冬柴健太と申します」
営業スマイルでそう答えました。
「私は研究所所長の小春俊明(こはる としあき)です」
小春さんも名刺を差し出しました。
「さっそくですが、草刈りをお願いしていいでしょうか」
小春さんが依頼します。
「はい」
僕は頷きました。
「ではこちらへ」
小春さんが道を案内してくれました。
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