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その途中、小春さんが足を止めました。
「マンガン! また勝手に機材を!」
小春さんが声を荒らげます。
マンガンと呼ばれた男性が、無表情でこちらを振り返りました。
「良いじゃないっすか、減るもんじゃあるまいし」
男性も小春さん同様白衣を着ていて、首に「万巻」と書かれた名札を掛けていました。
「色々減るんだぞ! 信頼とか、実験に費やす時間とか!」
「終わったら返しますって」
マンガンさんは、そそくさとその場を立ち去ってしまいました。
「まったく…ああ、彼は万巻淡一(まんがん たんいち)、研究所の職員です」
小春さんがマンガンさんを紹介してくれました。
当の本人は既に姿をくらましていますが。
「見た感じ、常習犯ですよね?」
僕は困り顔の小春さんにそう尋ねました。
「ええ。いつもああやって。前に爆発事故があったんですが、万巻の仕業じゃないかって…」
爆発事故、穏やかではないですね。
「ああ、案内がまだでしたね」
小春さんが再び、道案内を続けます。
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