【1】爆発音がしました

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その途中、小春さんが足を止めました。 「マンガン! また勝手に機材を!」 小春さんが声を荒らげます。 マンガンと呼ばれた男性が、無表情でこちらを振り返りました。 「良いじゃないっすか、減るもんじゃあるまいし」 男性も小春さん同様白衣を着ていて、首に「万巻」と書かれた名札を掛けていました。 「色々減るんだぞ! 信頼とか、実験に費やす時間とか!」 「終わったら返しますって」 マンガンさんは、そそくさとその場を立ち去ってしまいました。 「まったく…ああ、彼は万巻淡一(まんがん たんいち)、研究所の職員です」 小春さんがマンガンさんを紹介してくれました。 当の本人は既に姿をくらましていますが。 「見た感じ、常習犯ですよね?」 僕は困り顔の小春さんにそう尋ねました。 「ええ。いつもああやって。前に爆発事故があったんですが、万巻の仕業じゃないかって…」 爆発事故、穏やかではないですね。 「ああ、案内がまだでしたね」 小春さんが再び、道案内を続けます。
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