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「「えー」」
審判である土方さんのやめの合図が掛かって動きは止めたが、2人で不満の声をあげる。
「今日の試合は引き分けだ。
俺はこれから仕事があるんだ。
いつまでもお前等の試合に付き合ってられねぇんだよ。」
そう言い残して土方さんはさっさと道場から出て行ってしまった。
試合を止められて少し物足りなさを感じたけど、終わってからすぐに疲労感が襲ってきた。
子どもの頃には何度も試合をしたのかもしれないけど、ハッキリ言って覚えているのは沖田さんの方だけ。
私にとっては初めての人との試合と変わらないから手の内もわからないし、全く気が抜けなかった。
もしかしたら記憶があったとしても、こんなに何年も経ってたら意味なかったかもしれないけど。
沖田さんはまだ余裕が感じられて、きっとあのまま試合を続けていたら私の負けだっただろうな。
「ありがとうございました。」
「こちらこそ。結城強くなったね。また負けちゃうかもしれないと思ってヒヤヒヤしたよー。」
お世辞かもしれないけど嬉しい。
「次は勝たせて頂きますよ!」
「あはは。僕だってそう簡単には負けないよー。」
そのまま談笑しながら朝餉を食べる為に広間へ向かった。
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