体育祭の当日は。

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「えっ?そうなんだ。何かダンスの件で頭がいっぱいだったから」 視界の端に応援の待機をしている佐伯の姿が目に入る。 大きな旗を抱え少しかったるそうな様子に思わずクスリとしてしまう。 「脇田は相変わらず一生懸命にしてるね」 ゆいの言葉に慌てて脇田へと視線を戻す。 「あっ、うん、そうだね。声を振り絞って頑張ってる感じ」 「ねえ、あき。今、誰のこと見てた?」 なぜだか佐伯を見てしまってたのがゆいにばれだのだろうか? それでもあきはとぼけてみる。 「もちろん、脇田だよ。当たり前じゃない!!」 「......別にいいけど」 「ゆいー、変なこと言わないでよ。あんな人のことブスブス言うような奴、見てないよ」 「わたしは何にも言ってないけど?」 「そう、それならいいけど」 明らかに動揺しているあきは、ゆいからしてみれば『佐伯を見てました』と言っているようなものだが、本人が認めたくない以上は突っ込まなかった。
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