体育祭の当日は。

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それにしても、脇田に気づかないくらい佐伯のことが気になってたんだろうか? 自分のことなのによくわからない。 声が枯れそうな位叫んでいる脇田、全力投球な所がやっぱりいいなと思う。 「3組終わっちゃったね」 ゆいの言葉にもう少し脇田を見ていたいと寂しく思う。 これってやっぱり、まだ脇田が好きってことだよね? グラウンドから退いて行く脇田は彼女の小菅さんと目が合って嬉しそうに微笑んでいる。 「あはは」 どうしてだろう?やっぱりかっこいいって、いいなって、思うのに......。 「あき?」 以前のように二人を見て、締め付けるような、息が出来ないような苦しさにはならない。 もうどうにもならないって気持ちの整理がついたのか......それとも......。 もう一つの可能性である佐伯を見て、頭をブンブン横に振る。 「それだけはダメ」 両腕を自分の体に巻き付けるように抱き締めて呟く。 だって、きっと、もっと、傷つくことになるだろうから。
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