体育祭の当日は。

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自分達の組の応援は正視することが出来なかった。 旗手が旗を大きく回すシーンでは一際大きく歓声があがり、女の子の悲鳴染みた黄色い声まで聞こえてきた。 「やっぱ、悔しいけど佐伯って人気あるみたいだね」 あきを巡って言い争っているゆいにとっては佐伯がモテるのは面白くないらしい。 「うん、モテるみたいだね」 なるべく佐伯を見ずに全体をぼやかして見ているが、動作に華があるからか、油断するとすぐに視線が向いてしまいそうだった。 「もしね、あきが新しい恋をするなら、今度は幸せになって欲しいんだ」 ゆいは前を向いたままこちらを見ない。 でも、声からはあきを気づかう気持ちが溢れてる。 「うん、ありがとう」 ゆいは反対してる訳じゃない。でも、心配してくれてるんだろう。 これ以上育たないうちに、私はこの気持ちを摘んでしまったほうがいい......そう、思った。
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