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「じゃあさ、もしかして内藤にちょっかい掛けてんのもわざと?」
「そっかー、確かに。内藤とゆいちゃん仲良いし、内藤構えばゆいちゃんが出てくるって?」
「佐伯、あざといなー」
「嫌々、それいうなら流石だよ」
クラスメート達は口々に勝手なことを言う。
急に渦中に放り込まれた形のあきは、教室に入るタイミングを完璧に逸してしまった。
『どうして、私ってこう間が悪いんだろう。この前から立ち聞きばっかり......』
そう心の中で呟くが、現実は息をするのもままならないほどに、佐伯の言葉を待っていた。
『お願いだから、違うって言って。ゆいが好きな訳じゃないって』
「で、佐伯、本当のとこはどうなんだよ」
「別に」
佐伯は興味無さげに一言。
否定に近い曖昧な返事ともとれる。
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