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「俺さー、佐伯相手なら勝ち目ないよ」
「俺も」
早くもゆい争奪戦から離脱しかねない男共。
それだけ軽い気持ちなのかもしれない。
「じゃあさ、俺、内藤いこっかなー」
誰だかわからないが、まさかのスピンオフ。
戸の影で佐伯の一挙手一投足をうかがっていたあき。
驚きの余り、体勢をくずし戸に頭をぶつけそうになる。
すんでの所で堪える。
見付かったらとても不味い状況だ。
そんなあきの焦りも余所に話は続いていく。
「えっ、内藤?」
「ああ、最近はちょっといいかなーって」
「そうか?」
「まあ、最初は佐伯がブスブス言うし、本人もうつ向くわ、髪型変だわで無いなと思ったけど」
これはどういう風に捉えていいものか。
肝心の佐伯はずっと黙ったまま。
ここからでは、表情を伺い知ることも出来ない。
「ああ、俺も少し思った。最初の印象が悪すぎたからか、実はそこそこいけるかもって」
「だろー?男子苦手です!!って感じが余計いいかも」
勝手なことを言っている。
そもそも男子が苦手になったのは、そこにいる佐伯のせいなんだから。
「お前さー、内藤ならいけるかもって思ってない?」
ようやく、口を開いた佐伯の言葉は衝撃的だった。
ゆいなら無理で私ならいける。
これって、そういう流れだったんだ。
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