体育祭の当日は。

15/17
75人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ
「俺さー、佐伯相手なら勝ち目ないよ」 「俺も」 早くもゆい争奪戦から離脱しかねない男共。 それだけ軽い気持ちなのかもしれない。 「じゃあさ、俺、内藤いこっかなー」 誰だかわからないが、まさかのスピンオフ。 戸の影で佐伯の一挙手一投足をうかがっていたあき。 驚きの余り、体勢をくずし戸に頭をぶつけそうになる。 すんでの所で堪える。 見付かったらとても不味い状況だ。 そんなあきの焦りも余所に話は続いていく。 「えっ、内藤?」 「ああ、最近はちょっといいかなーって」 「そうか?」 「まあ、最初は佐伯がブスブス言うし、本人もうつ向くわ、髪型変だわで無いなと思ったけど」 これはどういう風に捉えていいものか。 肝心の佐伯はずっと黙ったまま。 ここからでは、表情を伺い知ることも出来ない。 「ああ、俺も少し思った。最初の印象が悪すぎたからか、実はそこそこいけるかもって」 「だろー?男子苦手です!!って感じが余計いいかも」 勝手なことを言っている。 そもそも男子が苦手になったのは、そこにいる佐伯のせいなんだから。 「お前さー、内藤ならいけるかもって思ってない?」 ようやく、口を開いた佐伯の言葉は衝撃的だった。 ゆいなら無理で私ならいける。 これって、そういう流れだったんだ。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!