75人が本棚に入れています
本棚に追加
「やー、ゆいちゃんは高嶺の華?何だかんだ言ったって俺には無理めかなーって」
だから、私ならいけるって?これって馬鹿にしてる。
私なら断らないって?
「まあ、まして佐伯が相手じゃな。だから、俺は内藤って、妥当じゃね?」
更に続ける声の主に苛立ちをつのらせた声が聞こえてきた。
「お前なんて、誰もいけねーよ!!」
佐伯だ。
「おい!!それってどういう意味だよ!!馬鹿にしてんのか?」
佐伯に言われた相手も流石に腹がたったようだ。
「まんまの意味だよ」
佐伯の突き放したような声が聞こえると同時に、椅子がぎーっと動く音がした。
「おい、佐伯!!待てよ。おい!」
追いかけてくる声を無視して、スタスタと歩きだす音がする。廊下の方へ近づいてくる。
ヤバイ、佐伯が来る。
「お前だってこすいことしてるくせに、人のこと言えんのかよ!!女子に向かってブスなんて中学生でも言わねーよ!!」
最後の言葉に、教室の戸に手を掛けた佐伯の手が止まる。
その隙にあきは隣の教室の中へと入り込んだ。
「そうだな......」
佐伯は掠れた声で自嘲気味に呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!