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カチャン
浴室の扉が開く音で、私は急いでスマホの画面を消して目を閉じた。
しばらくすると、恵介さんが隣に来た。
絶対に起きてあげないんだから!
「和香菜?寝てるの?」
「…。」
私が寝たふりを決め込んでいると、恵介さんの手が髪に触れた。
2度、髪を撫でられた後、今度はそっと口付けられた。
「和香菜、愛してる…。」
反則だ…。
完全に寝たふりを貫くつもりだったけど、私の決意はあっさりと崩れて、寝ぼけているフリをして言った。
「恵介さん…好き…」
体の向きを恵介さんの方に向けて、そっと寄り添う。
「可愛い和香菜、おやすみ。」
それには答えずにいると、ピッと電気を消す音がして瞼の内側が暗くなった。
私はそのまま恵介さんの腕に包まれて、本当の眠りに落ちていった。
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