☆7☆

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どのくらい公園のベンチで泣いていたのだろう。 うちに帰ったのは、昼を過ぎていた。 ベッドに倒れこむと、窓の方に目をやると、窓の下の本棚に置かれたいつか読んだ、黒谷祥花の小説が目についた。 あの本の主人公の彼のように、細井君も戻って来てくれるだろうか。 もしそうなら、私はどうするだろう? ううん。 私は知っている。 細井君は、戻ってなんかこない。 主人公のセリフ 「一緒にいることはできる。でも、もう気持ちが一緒にいられない。」 状況は全く違うけれど、きっとそのまま細井君の気持ちなのだ。 その日、涙は夜まで止まらなかった。
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