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「え?音姉はわかるとして、なんで由夢が?」
顔を傾ける。音姉は魔法使いだからわかるけど、由夢は違うはず…
「たしかに由夢ちゃんは魔法使いとしての力はないけど、特別な能力(ちから)を持ってるよ。…そう言えばお兄ちゃんもあったっけ…」
さくらさんが感慨深げな目をして中空を見つめる。
さくらさんが"お兄ちゃん"と呼称するのは音姉達の祖父である、純一さんだ。
そう言えば俺が使えるただ1つの魔法も純一さんから教わったんだっけ…でも純一さんって"あの魔法"以外も使えたっけ?
何気なく小さな白い手の平を眺める。軽く握って、和菓子をイメージする…手頃なところで真っ白い大福餅を…
…それから開くがそこには大福餅どころか和菓子すらなかった。
「義之くん。出せなくて当たり前だよ。今の義之くんはアイシアなんだから」
「そうですか…あ、でも玩具なら出せるんじゃ?」
「たしかにアイシアなら出せるけど、和菓子とじゃ魔法の構造が違うから今は出来ないと思うよ」
「魔法の構造?」
「うん。一口に物を出す魔法と言っても術式が違うからね」
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