第3話【遭遇と疑惑】

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「え?音姉はわかるとして、なんで由夢が?」 顔を傾ける。音姉は魔法使いだからわかるけど、由夢は違うはず… 「たしかに由夢ちゃんは魔法使いとしての力はないけど、特別な能力(ちから)を持ってるよ。…そう言えばお兄ちゃんもあったっけ…」 さくらさんが感慨深げな目をして中空を見つめる。 さくらさんが"お兄ちゃん"と呼称するのは音姉達の祖父である、純一さんだ。 そう言えば俺が使えるただ1つの魔法も純一さんから教わったんだっけ…でも純一さんって"あの魔法"以外も使えたっけ? 何気なく小さな白い手の平を眺める。軽く握って、和菓子をイメージする…手頃なところで真っ白い大福餅を… …それから開くがそこには大福餅どころか和菓子すらなかった。 「義之くん。出せなくて当たり前だよ。今の義之くんはアイシアなんだから」 「そうですか…あ、でも玩具なら出せるんじゃ?」 「たしかにアイシアなら出せるけど、和菓子とじゃ魔法の構造が違うから今は出来ないと思うよ」 「魔法の構造?」 「うん。一口に物を出す魔法と言っても術式が違うからね」
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