第1話:【消失と融合】

2/3
前へ
/36ページ
次へ
…俺の存在が消える… …俺は本来いないはずの存在…だから仕方ない…のかもしれない… 混濁した意識のなか、必至に繋ぎ止める何かがある… 「義之くん!意識をしっかり保って!」 『………アイシア?』 消えかけた意識を集中させると、さくらさんと同じくらいの小柄な少女…アイシアが泣きながら訴えかけていた。 1ヶ月前に出会い、一目で魅了された不思議な雰囲気の少女。 他の人達の記憶に残らない少女…そんな儚げな雰囲気を一切感じさせない、明朗な性格の少女… 「義之くん!諦めちゃだめ!」 『だが…俺は…もう…』 アイシアのおかげで何とか意識は保つことができたが、俺は既に消えかけていた。 「………義之くん、よく聞いて」 意を決した表情をしながらアイシアが告げる。 「今からわたしの魔法で義之とわたしの存在を融合させる」 『…え?』 にわかに信じがたい話だ。 俺とアイシアが融合? 『なん…で…そん…』 「義之くんは身体ごと全部存在が消える。でもわたしは身体はあるけど存在ないようなものなの。だから、魔法でわたしと義之くんを融合したほうがいいの」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加