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…俺の存在が消える…
…俺は本来いないはずの存在…だから仕方ない…のかもしれない…
混濁した意識のなか、必至に繋ぎ止める何かがある…
「義之くん!意識をしっかり保って!」
『………アイシア?』
消えかけた意識を集中させると、さくらさんと同じくらいの小柄な少女…アイシアが泣きながら訴えかけていた。
1ヶ月前に出会い、一目で魅了された不思議な雰囲気の少女。
他の人達の記憶に残らない少女…そんな儚げな雰囲気を一切感じさせない、明朗な性格の少女…
「義之くん!諦めちゃだめ!」
『だが…俺は…もう…』
アイシアのおかげで何とか意識は保つことができたが、俺は既に消えかけていた。
「………義之くん、よく聞いて」
意を決した表情をしながらアイシアが告げる。
「今からわたしの魔法で義之とわたしの存在を融合させる」
『…え?』
にわかに信じがたい話だ。
俺とアイシアが融合?
『なん…で…そん…』
「義之くんは身体ごと全部存在が消える。でもわたしは身体はあるけど存在ないようなものなの。だから、魔法でわたしと義之くんを融合したほうがいいの」
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