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ポロポロ泣きながら視線を落とすさくらさんの頭に俺はそっと手を乗せた
白くて小さな手…俺はアイシアになったんだと再認識する。
「俺は嬉しいですよ。さくらさんのおかげで俺は存在して…アイシアと出会えたんですから」
「…え?」
瞳を潤ませた表情を俺に向ける
「それに…アイシアも言ってたんです。…消えるんじゃない、俺と一緒になるんだって」
左手を胸元に当て、目を伏せて思いを馳せるように話す
「義之くん…」
「どちらにしても俺は消えるところだったんです。だから俺は桜内義之である前にアイシアとして生きていくつもりです」
「義之くん…」
さくらさんは涙を拭いながらどこかホッとしたような表情になる
「でも、実際のところどうなってるんですか?俺は消える前、ほとんどの人に忘れられていたんですけど」
「確証はないけど、今までの義之くんの存在はなかったものとして、そのままアイシアに置き換えられてると思う…」
「それって…」
「うん、小恋ちゃんも義之くんじゃなくてアイシアを幼馴染みだと思ってるだろうし、他のみんなもアイシアがクラスメイトだと認識してると思う…一部の人を覗いて、ね」
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