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「ふぅ~、なんとか時間内に間に合った」
口から安堵の息が漏れ、俺たちはドアが開いたバスへと乗り込み、先ほどまで持っていた重い荷物を上の棚へと置く。
荷物を持っていたこともあって、思ったよりも時間がかかってしまったが、無事にバスが出発する前に着いてよかった。
「才芽歩くの遅すぎ!私の方がここに着くの早かったよ」
荷物を置いていると、横から水葉がそんな文句を言ってきた。
「荷物持ってたんだから仕方ねぇだろ!てか、お前だけにはえらそうに言われたくねぇ」
確かに俺が来るのが遅かったから、バスの時間もギリギリになってしまった。
……だが、ここにくる道中、水葉は荷物を持って歩いている俺を心配するどころか、鼻歌交じりに俺の前を悠々と歩いていやがった。
そんな人情のかけらも持ってないやつにどうこう言われたくないね。
「何を~!才芽のくせにえらそうに!」
「はいはい、そうですね」
横で水葉がギャーギャー騒いでるが、今はかまってあげる体力は俺にはもう残ってないし、ここはスケルトンイヤー(聞き流し)を使うとしよう。
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