6.鷺草と蛍火

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流の工房は、小売をしていないので間口は狭い。 奥には娘ばかりいるので、二重の門 を昼でも閉じている。 どうしたものかと突っ立っていると 上から声がした。 「入ってこいよ」 親方だった。 工房に多く光を取り入れるため、 巻き貝のように複雑な屋根が重なっている。 その角のひとつから、 ニヤニヤ笑う親方と あちこちの階から、娘たちの顔が覗いていた。
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