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随分前だが、おとなしい瑠花のことを心配して親方に意見した事がある。
『あいつは大丈夫だ。
自分の仕事に自信のあるうちは何されてもこたえない。 追い込まれるのは相手だ。』
笑いながら言うのを半信半疑で聞いていたが。
実際、そうなのだ。
半刻ほどの遅れは問題にならない。
誰よりも早く瑠花は織り上げるのだから。先輩の織り子達は、自尊心を傷つけられる。しかも焦って瑠花に意識を向けているから、失敗が多くなる。
淡々と自分の仕事を完璧に成し遂げる。
職人の資質を確かに瑠花は持っていた。
朝顔のように、誰より早く咲くことは明らかだった
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