2.芙蓉

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♯ 瑠花は最近、外回りの使いを頼まれる事が多くなった。 得意先に布を納めたり、仕立て屋に見本を持って行ったり。 市井の賑やかな様子を見ても、瑠花は気が晴れない。 (織機を踏んでるほうがいいや) つくづく、外の世界に向いてないと思う。 同期の小蘭(しゃおらん)なら、銀細工の店や服屋ではしゃぐことだろう。 「次は…履き物工房?」 初めての店だ。 織った布が、室内履きになる事もある。そこまで凝るのは上流階級の家だけだろうけど。 縫い子さんたちの仕事を少し見せてもらえたら良いのにな、と足を急がせた。
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