2.芙蓉

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一瞬耳を疑った。 どうして… 「踏み込むの、つらいんだってな?」 流親方の恐ろしさを知った。 確かに機織りは足首に負担がかかる。 人の倍の速さで織る瑠花は尚のこと。 高さを調節しようと踵に台をあてたり、滑り止めをつけた。 それでも最近、以前とは違う。 親方にばれないようにしてたのに。 お見通しだったのだ。 弱みを見せたくない心も。 「あいつが損になることをするわけねえ。あんたが元通りになりゃ、他の奴にも下駄履かすだろ。だから殊更、恩に感じなくてもいい」 顔をあげる。 ああ、この人も。人を育てる人だった。 自分はどんな顔をしてたんだろう。 意固地で情けない顔に決まってる。 顔をあげ、 先導する行親方の後を追った。
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