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人間。どんな人間でも…朱に交われば朱く染まるものだ。
市立中学。3年1組。
今そこには、泣き声とうめき声が響いていた。
「おら、食えよキモ眼鏡」
「ちゃんとこっち向けよ!!」
「ひぐっ、ぐぇ…」
キモ眼鏡と名付けられた彼は勉強熱心な"村石"と言う。
村石は四人の不良に囲まれ、身動きが取れない。
「うわ、まじ引くわ~。キモぉい」
一人目・左藤が、雑巾をくわえた村石が上げた顔を見て言う。
続いて御山と日下部が「殴りたくなってきた」とか「うわ、窓から落とす?」とか楽しげに言ってる。
「(またか…)」
登校してきた俺、神城 陽(かみしろはる)は、教室に入った瞬間に思った。
かといって、"助ける"なんて危険の高い事は出来ない。
標的が俺になるからだ。
不意に村石と目が合う。
俺はその悲願の目からすぐさま目を逸らし、席についた。
「(もう。関わらないって決めたじゃないか)」
出来るだけ村石を見ないように、数学の教科書に目をやった。
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