MEMORY2/3

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  名前について案を出すと、その名前が男の子でも女の子でも通用することに彼は納得出来なかったみたい。 頬をポリポリと掻いて、 「なぁ、実は俺も色々と考え……」 「え、男にも二言があるんだ!?」 「何だこの紙は!? ふん、破ってやる!」 「出したゴミは自分で片付けてね?」 びっしりと名前の候補が書かれた紙を破って紙吹雪を舞わせた彼。 その紙片を1枚拾って見たら、何やら画数の多い非・常用漢字が……。 せっせとゴミを集める彼の後ろ姿を見ながら思った。 うん、任せなくて正解だったかも。 「……2人目」 「ん?」 「2人目のときは、俺も考えさせてくれ」 「ぶふっ!!」 あはははははは! だ、ダメ、この人可愛い! どれだけ私の笑いのツボを突いてくるんだろう? あ、今動いた。 * 「ねぇ、そんなに産湯(うぶゆ)に浸けたかったの?」 「あ、あぁ。願わくば立ち合いたかった」 3ヶ月後、赤ちゃんは無事産まれた。 逆児でもなければ、ヘソの緒が絡み付くこともなかった。 出産は彼の実家で、助産婦さんは彼のお母さん。 つまり私のお義母さん。 しかしこのお義母さん、自分の息子にかなり厳しかった。 立ち合いたいという彼に、『え? 邪魔にしかならないからヤメてよ。さぁ、去れ。失せろ』と真顔で断る始末。  
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