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初めてでここまで出来るなら、早い内に次のパートナーと巡り会えるかもね。
私は細かい指示を出し続けながら、カインを胸の中でこっそり誉めてあげた。
それからも順調にコースに沿って進むことに成功し続けていた。
本当にすごい!
やっぱ訓練士が優秀だったとか?
───なんて一瞬でも思った私がバカだった。
「…………え?」
突然、自分の足に触れていた地面の感覚が消えた。
何で?
何で何で何で?
どうして?
何も無くなったような世界で理解出来たのは、叫ぶことすら叶わない圧倒的な激痛が私を襲っていたことだった。
痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!
助けて! 誰かッ!!
何が何だか判らない状況から脱け出そうと、私は痛みを堪えてアイマスクを外した。
そして見たのは、真っ赤なカインと電柱にぶつかった中型くらいのトラック。
あぁ、そっか。
事故に巻き込まれたのか、私たち。
補助役の同僚が、ごめん、って謝っていた。
でも大丈夫だよね?
だってカインは誰かの役に立てるように私が全力で育てるんだから。
だから、これは悪い夢なんだよ。
夢なんだよ……ね?
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