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キッカケは、私の下駄箱に入ってた差出人不明の1通のラブレターだった。
大してモテない私にそんなモノが届くハズないと思ってた。
でもその反面、すごく嬉しかった。
だってその手紙に書かれていた字が誰のなのか、すぐに判ってしまったんだもの。
書いたのは幼馴染みの男の子。
身体の弱い私とは正反対にスポーツが出来るけど、ちょっぴり無口で不器用な彼からの手紙だった。
もちろん返事はOK。
『私なんかで良いなら、隣にいさせて下さい』って。
ちなみに差出人のトコは単なる書き忘れで、指摘したらダッシュで逃げて新しいラブレターを書いてきてくれた。
どちらも私の宝物になった。
それから付き合いは順調に進んで、いつしか私は彼の赤ちゃんを授かっていた。
「名前は何にする?」
「んー、まだ決めてない」
「……そうか。き、期待しておくぞ?」
自分にはセンスがないから、なんて理由で赤ちゃんの命名は私に託された。
あはは、『期待しておくぞ?』って何?
かぁわいいー!
同棲を始めた家の本棚には、買った覚えのない姓名関係の本が並んでいた。
ホントは自分も名付けたいクセに、任せると言った以上訂正は出来なくなったと思ってるみたい。
あー、もう。
ダメなパパだよ。ねー?
*
「そ、それは女の子に付けるにはどうかと思うぞ? な? 悪いことは言わない、もう少し可愛い名前にだな」
「あれー? 任せるんじゃなかったのー?」
「いや、しかしだな……」
お腹の中の赤ちゃんが女の子だと判ったのは妊娠7ヶ月に入った頃だった。
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