MEMORY2/3

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  キッカケは、私の下駄箱に入ってた差出人不明の1通のラブレターだった。 大してモテない私にそんなモノが届くハズないと思ってた。 でもその反面、すごく嬉しかった。 だってその手紙に書かれていた字が誰のなのか、すぐに判ってしまったんだもの。 書いたのは幼馴染みの男の子。 身体の弱い私とは正反対にスポーツが出来るけど、ちょっぴり無口で不器用な彼からの手紙だった。 もちろん返事はOK。 『私なんかで良いなら、隣にいさせて下さい』って。 ちなみに差出人のトコは単なる書き忘れで、指摘したらダッシュで逃げて新しいラブレターを書いてきてくれた。 どちらも私の宝物になった。 それから付き合いは順調に進んで、いつしか私は彼の赤ちゃんを授かっていた。 「名前は何にする?」 「んー、まだ決めてない」 「……そうか。き、期待しておくぞ?」 自分にはセンスがないから、なんて理由で赤ちゃんの命名は私に託された。 あはは、『期待しておくぞ?』って何? かぁわいいー! 同棲を始めた家の本棚には、買った覚えのない姓名関係の本が並んでいた。 ホントは自分も名付けたいクセに、任せると言った以上訂正は出来なくなったと思ってるみたい。 あー、もう。 ダメなパパだよ。ねー? * 「そ、それは女の子に付けるにはどうかと思うぞ? な? 悪いことは言わない、もう少し可愛い名前にだな」 「あれー? 任せるんじゃなかったのー?」 「いや、しかしだな……」 お腹の中の赤ちゃんが女の子だと判ったのは妊娠7ヶ月に入った頃だった。  
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