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「あ~、怒鳴って少し清々した。」
もう忠治がいないことをドア越しの小窓から確認してから部屋へと戻る。
「……告白の練習?
そんなの付き合うの
嫌に決まってるじゃん。」
忠治が告白しに出かけてから10分 さっきまで忠治が座っていた場所に温もりはもうない。
「告白前に何でそんな酷いこと言うかって? す、素直になれない私の気持ちぐらい幼なじみなら察しなさいよ。」
今はもう一人の筈なのに、何故かポツリポツリと言葉が漏れて行く。
「徹夜でドラクエ? あんたと一緒にしないでよ。私は今日が来るのずっと楽しみに待ってて用意してたんだから……」
向かい側の引き出しの中には、さっき忠治にどうしても見られたく無かった物が入っている。
今日が誕生日だった忠治へ
2ヶ月前から徹夜で編んだ
忠治への誕生日プレゼント。
この世に生まれて初めて異性へ手紙を書いた。自分の感情を素直に相手に伝えることが出来ないひねくれた私が、震える想いで何度も何度も書き直してようやく完成した忠治への手紙。
私の15年間の想いが詰まっている手紙。
「お前は綺麗なのに何で彼氏を作ろうとしないんだって?
そんなの………
そんなの決まってるじゃん……
そんなの……。
視界がぼやけて世界が霞む
「忠治……あんたの事が大好きなんだよ……」
生まれて初めて自分の恋心を口に出した。
……涙がとまらない
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