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言いたいことが言えず、口をパクパクさせていると、先生はドアを大きく開いた。
「入らないのか?」
先に中に入り、スリッパのような形の靴を脱いでいた先生がそう尋ねてきた。
「は、はい!」
さっきまであんなに躊躇っていたはずなのにすんなりと中に入れた。
そのことにびっくりしていると、「おにーちゃん」と呼ぶ声にはっとした。
「すみません!」
俺は書斎と思しき部屋に案内され、すぐに目的の品、先生直筆の原稿を受け取った。
「リビングで読んでくれ」
「分かりました」
素っ気ない態度に丁寧に話す必要はなさそうだと思った。
『あやちゃん』はまだ先生に抱っこされている。
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