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「何をしたのですか?」
槐が驚いて聞く。
「浩介さんとキスした。」
槐はなんだという顔で松子を見た。
「済んだことです。忘れてしまいなさい。」
松子は目に涙を浮かべて言った。
「槐が忘れてくれない。だから私にキスしないんでしょ?」
槐はその言葉に胸が痛んだ。
「そんなことは…。」
ないと完全に否定出来なかった。槐の心のどこかに、浩介とキスをしていた松子のシルエットが暗い影を落としていた。
「結婚するのにキスしないなんて変だって、愛美ちゃんが言ってた。槐は本当は私と結婚したくないんだよね?」
松子の目から涙がこぼれた。
「松子さん、キスしない私と一緒には居られませんか?」
槐は苦し紛れに言った。酷い質問だと、言ってしまってから後悔した。
松子は下を向いたままかすれた声で言った。
「槐はキスもしたくない私と一緒に居たい?」
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