悲しきピエロ

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「今の所、誰もひっかかってこないな。あれは普通のカードだったんじゃないか?」 一月が過ぎて、特命で報告会議が開かれていた。 「殺人事件の捜査は進展しているのですか?」 槐が質問する。 「警察は難儀している。管理された国民が殺人を犯すことはあってはならないのだ。しかし、現実に起こってしまった。このまま迷宮入りさせるわけにはいかない。」 幹樹が唇を噛み締める。 「美容会社の一件もあったことだし、人間は管理しきれねえってことか。」 椋が暗い顔をする。槐は松子に気遣いの目を向けた。 「この国って人間をどうやって管理してるの?」 松子が不思議そうに聞いた。 「松子は知らないのか?」 棕太が呆れて言う。 「知らないと思う。みんな知ってるの?」 「人間以外はみんな知ってる。」 「へえ、私は人間だったんだ!てか、人間以外って?」 今更な質問に、幹樹が答えた。 「転生者ですよ。約百人の転生者が人間を管理しているのが神威国です。」
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