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まだ、大学受験に合格したばかりだった。
祖母に、大学受験を報告しようとした矢先、祖母は亡くなってしまった。
大切な思い出がある、アパートを残して。
小さい頃、僕はこのアパートで何回か遊びに来たことを覚えている――祖母は言っていた。
『ここはわしにとって、大切なアパートなんじゃよ――』
命よりも大切なアパート――丁度一人暮らしをする予定だったから、丁度いい。
僕は、このアパートを守っていきたい。
管理人と言う仕事を引き受け、現在僕はこのアパートの前に立っていた。
心臓がドキドキしてて、止まらない。
「……よし」
大荷物を抱えて、気合を入れた。
確か、アパートの住人は二階に住んでいて、一階の部屋全部は管理人だった祖母の美鶴が使っていたはずだ。
寝泊りをしていたのは、確か一番端の部屋。
扉を開けようと、近づいて手を伸ばしたときだった。
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