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震える手でゆっくりとその扉を開けようとした瞬間――扉が完全に開きだした。
いや、僕が開いたんじゃない。
目の前に突然現れた男が、その扉を開いたのだ。
見上げてみると、まず印象に残ったのが真っ赤な髪だった。
真っ赤な髪に真っ赤な瞳。
真っ赤な瞳が僕を見つけて、そして睨みつけるような視線を向けられた気がした瞬間。
「ぎゃぁぁああああっ!!」
とにかく、叫ぶことしかできない情けない僕の姿があった。
* * *
僕が大声を出して数分。
僕が暮らすアパートの一室で、赤い髪の男性を招き入れました。
先ほどの真っ赤な髪の人に今日から僕が管理人と言う事を説明するため。
急いで小さい机を出し、その机の上に即効で作ったお茶を座っている男性に渡した。
「え、えっと、その……粗茶ですが、どうぞ」
「……」
「あ、あの、叫んでしまって、ご、ごめんなさい……」
「…………」
男の人は何も言わず、僕を見ていた。
目が腐るかのような、そんな感じで。
気になって汗が止まらなくなってしまっている。
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