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  (仮面狩りだと?) ドベンネの前で座り込んでいる男は驚いた。 ───仮面狩り。 中世貴族文化の華やかなりし頃、贅を尽くした遊びに飽いた特権階級が夢中になったもの。 仮面は自己、自己は仮面である事を互いに誓い合い、決闘でそれを奪いあう。 仮面狩りによって支配階級の秩序は乱れ、王家はこのふざけた行為に百年の間の縛りをかけた。 (仮面狩りなど、昔ばなしだろうに……) 「仮面狩りの禁令が出されたのはたしか夏至の日‥‥」 二つの仮面に背を向けたまま、立会人は呟いた。 「そう、今から百年前の夏至の日だ」 ドベンネの目は白い仮面の奥で、三日月を横にした様な不思議な形になった。 「使用人。今日は夏至の日だぞ」 「……」 使用人、いや、立会人は振り返った。  
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