プロローグ

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真っ暗な空、どよんと大きく肥大した湿気を孕んだ雲が空に掛かってる。 雲の切れ間さえ見えないこんな夜、普通であればいない場所に私はいる。 周りを見れば視界に入るのは、壊れた屋根から月のない中でうっすらと光を入れ込んだこの場所。 床からは草木が我が物顔で伸びていて、壊れた扉の木の部分は既に朽ちてしまったのだろう、どこにも見当たらない。 既にコンクリートだけが残っていて、そこを草木が生い茂っているこの場所。 なぜこんな場所に居るかと聞かれれば情けない話だけど、元住んでいた場所を追い出されたから。 理由については、後々語るとして今の所ココが私の生活スペースだったりする。 荷物は、大きいキャリーバッグで中には私の着替えと、最低限の生活道具。 シャンプーやら、洗剤やら、そして全財産が入っている。 と言う訳でですね、私仕事探ししてるんだけど固定住所が無いの。 そうすると、就職したくても空欄ができちゃうんですよ。 お陰で、すぐに決まる仕事も既に、何十と断られていて、もちろん今の時代に当たり前のものは全くないので、電話も公衆電話。 この、廃墟からは近くにあるんだけど、流石に幽霊でそうで怖いんだよね。 一応父親もいます。 でも、この家は怖いからと尾をまいて逃げました。 いや、ケツまくって逃げた! まぁ、そんな関係で出来れば住み込みの仕事が望ましいんだ。 今の所高校の時から働いているバイト先のケーキ屋だけはどうにか使ってくれてる。 そのケーキ屋も社員が結構居るから、バイトで賄ってる状態でこれ以上は正社員は受け容れられないのも知ってるから無理にはお願い出来ない。 こんな、先のない私でも諦めず就活しますっ!
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