仕事

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 そんなこんなで今日は面接の日なんだけど今回はどうかな?やっと見つけた面接先だけど、職業内容は神社の巫女さん。  住み込み可で、時給も結構良いのでウッハウハ♪ ご飯も付くから家のない私的には嬉しい事この上ない!  ジリジリと嫌味な位照ってる日光を手で遮って、ちょっと睨み付けてから深い溜息とこれから受ける面接の為に神社へと向かう道のりを黙々と歩く。  結構徒歩は、嫌いじゃない。  周りの景色が綺麗だったり、今まで目に入らなかったものが見えたり。  草木の季節感とかもナカナカおつなもんですよ。  と…周りを観察しながら歩いていたら通り道に大きな屋敷が目に入った…  なんだか年代物の屋敷のような、そんな建物を横目にテクテクと足を進めて行くと角を曲がる手前の電信柱に張り紙があって何の気なしに視線が奪われ私は目を見張った。 ※急募集(お手伝い) 仕事のサポートと事務業務兼家政婦 日給1万 面接毎週月曜日:履歴書持参の上直接訪問下さい。 住み込み優遇 電話:○○○-×××× 「なにこれ…日給1万って…やばくない?それに、住み込み優遇って!」  勿論その張り紙に食いつく。  ジッと見入りもう一度その建物の外側をぐるりと見渡した。  木が横に並んで重ねる木造の建物で屋根は瓦屋根今の時代で言えばかなりレアな建物。  月曜が面接ならば明後日だし、ここも一応行って見ようと私は、この場所の住所を見てメモを取り終わるともうすぐ指定の時間だと急ぎ足で神社へと向かった。 ■■■ 「花井緑と言います」  目の前には頭つるんな、お坊様。 「そうですか、この現住所が…書かれていないのは?」  あぁ…やっぱり聞かれるのか。  解ってはいたけれど答えるしかないだろうな。 「はい、私は今家が無くて…」  と…答える私に面接をしてくれてる神主さんは眉間に皺を寄せる。 今までと同じ対応で、なんとなく予測がつくのがなんと言うか・・・切ない。 (ここもダメ、か)  履歴書だけが減っていく。  神社を出るときに言われた言葉が…  定職を持ちたいならまずは家を借りなさいだった。  うん、そうだろうけど、借りるお金が無いんだよ…。  深い溜息を落として私はその神社を出た。
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