320人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
取り敢えず幽霊廃墟で、日曜日を過ごし昨日初めてアホな集団を見た。
肝試しってヤツに来たんだろうけど、私を見て逃げて行った・・・きっと何かと勘違いしたんだろうけど噂になるな。
そしてやっと来ました月曜日!
その古い屋敷の門の前に腰に手を当ててふんぞり返った。
受かります様に!神様にこんな時だけ祈る不届き者だけど許して頂けるはず!
出迎えは誰もいないがと言うか…電話していなかったから、これから面接の許可を貰わなければならない・・・
家の大きさは外から見ても結構な奥行きがあるし、二階建てだから、上の窓も古い建物感が出ていて廃墟よりはマシだがここも怖そうだなと、漠然と思った。
念のために持ってきた履歴書がちゃんと中に入っている事を確認してから一歩を踏み出せばジャリ、と音を立てて中へ入る。
大きな石が玄関までの道を繋ぎ周りには、ジャリが敷き詰められている道を進むと大きな二階建ての旧家はかなり風情があり玄関に到達する前に…息を飲んだ。
チラリと横を見やると庭は、草原・・・なんで!?
「うは、草ボーボーだぁ・・・」
数箇所草村に穴が開いているのはなんだろうと思って好奇心を擽られ、玄関より横へそれて、草地の穴に向かい足を向けると・・・
「はっ? 馬っ!」
ブルルッと一声上げると、私の方をジッと見つめてくるつぶらな綺麗な瞳…サラブレッドの綺麗な筋肉の流れに見とれてそっと手を差し出した。
「噛むぞ」
その地を這うような声に、ビクッと肩を震わせ視線で声の主を探すと立っていたのは背の高い、男性。
和服で髪を後ろで纏めている姿にあんぐりと口を開いた・・・いかんいかん、時代錯誤過ぎて見入ってしまってた。
「す、すみません面接に来たんですけど馬がいて、つい…」
ついやってしまいました…良くある軽犯罪の常套句な気がする。
うん、不法侵入だし変わりは無いか。
「面接?」
男性が首を傾げた。
「月曜って…柱の貼紙に書かれてて…」
古いからもう、募集などしていないのだろうか?けれど、一つ何かを考えるそぶりをしてから男が私をジッと見て告げた。
「あぁ、解った入り口へ」
「あっ、はい!」
どうやら古いという考えは違ったらしく、面接は受けてくれるらしい。
私は慌てて先ほど来た道を戻り、門の入り口から真っ直ぐ続く道へと戻り玄関へと進むと、『日向動物病院』と書かれていた木で作られた看板が目に入った。
「動物病院…だったんだ?」
と、その場所の大きさの理由を理解した。
昭和のような扉を横に引き、中へと足を踏み入れる。
最初のコメントを投稿しよう!