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なかなかに壮絶である。しかも、暗い。少女の方は何とも思っていなくとも、一方的に暗くなった雰囲気を打破しようと、努めて明るく口を開いた。
「前って何処にいたんだ?」
「フランス」
「国外かよ!」
だからママンとか洒落た言葉使いしてんのだな!
そうか、そうか。きっと、じゅまぺーる、しるぶぷれぇ? とか言って、ワイン片手に優雅な逃亡生活決め込んでたんだろう。
いや、ちびっこはオレンジジュースか。
うーんなんとなく劣等感。
「きこくしじょ、ってやつなの」
恐らく本人に悪気はない。
悪気はないが……、なんだかなぁ!
俺の苦悩などどこ吹く風、少女はゴミ山中、ぴしりと姿勢をただした。
「すぎしま、みづきと申します。短い間ですが、よろしくおねがいします」
「あ、どうも」
頭を下げかけてはたと気付く。
おい、こいついくつだよ。
生来のお人よしに気の弱さ、押しの弱さに鑑みて、答はひとつだ。
俺は多分、この可愛い姫君にいいように振り回されるんだろうなぁってこと。
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