初デート

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「それでは、行ってらっしゃーい。」 係の人が、扉を閉めて鍵を掛ける。 ハル君と、手は繋いだまま。 上に向かうことを考えてると、自然に繋いでいる手に力が入ってしまう。 一周、何分ぐらいかかるんだろう……。 そう思うだけで、胃が痛くなりそうだ。 「あ、かおる。 言うの忘れてたんだけど、俺、今度の 土曜日も予定入ってるんだ。 引退した部活の打ち上げが入ってて。」 「そーなんだ。 ……部活って、もしかしてバドミントン部?」 「うん。そう。 よく知ってたね。」 「おばさんから聞いてて。 確か、中学の時もそうだったよね? ハル、知らなかったと思うけど、 私もそうだったんだ。 中・高とバドミントン部。」 3才離れてるから、カブることなかったけど、たまたまおばさんから聞いて、 部活が一緒だったこと、すごく嬉しかったんだ。 「………知ってる。 俺、かおるがバドミントンしてるの見て同じ部活にしたから。」 「えっ!!ホント!?」 「うん。実は、こっそり試合も見に行った。」 「!!」 マジですか!!!! 突然のカミングアウトに、真っ赤になる。 し、試合を見たって、いつの試合の時だろう? 無様に負けた時じゃなかったと思いたい。 中・高とやってたとはいえ、めちゃくちゃ強い選手でもなかった。 知らないうちに見られてたなんて、恥ずかしすぎる。 ─────────でも。  
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