第2回 お題 「足音」

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「雄一、ベッド使いたい?」 「いいよ、僕、布団派だし」 なぜか「ふふっ」と笑われた。 「電気、消すね?」 暗闇の中、右上の方から聞き慣れた希の息づかいが聞こえる。 「雄一、何か話して?」 「何か~?じゃあここは1つ、怪談話でも…」 「やだやだ!こんな時にやめてよー!」 希の困った顔が容易に想像できる。 「そういえばさ、前の彼氏はもう本当にいいの?」 「なぁに?急に。……いいよ、あんな奴。大した奴じゃなかったし。」 「浮気もするし?」 「まぁそれもあるけど…色んなことに気づいたタイミングだったから逆に良かったかも」 話し途中な上に、希の隣だというのに、僕はなんだか眠たくて仕方なかった。 連日の寝不足がたたっているのかもしれない。 「ねえ雄一?」 「ん~?」 「もう眠たい?」 「ちょっと。」 「寝ていいよ、何かあったら起こすね?」 「うん。ありがとう、おやすみ」 ゆっくりとごく自然に意識が落ちた。 そして、次に目を覚まし僕の耳に聞こえてきたのは、ゆっくりとこちらに近づいてくるような、床の軋む音だった。 僕は身動きをせずに目だけ開けてみたが、明かりがついていないため、周囲を確認できない。 希から話を聞いた時、幽霊のはずがないと僕は確信していた。 それなのにこの音はいったい何なんだ? 少しずつ近くなって、とうとう何かがすぐ隣まで来たのがわかった。 「気付かれてないと、思ってた?」       . 誘うような女の声。
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