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その日は、雨だった。
ドシャ降りの雨の中、俺は一人、走る。
しばらく走り、追い掛けてくる奴を撒くと息を整えるため、座り込んだ。
ここは……公園か。必死に走ってきたもんだから場所も確認していなかった。
再度立ち上がり、ベンチがある場所へと歩く。
「ったく、やっぱりロクな親じゃない」
俺は、親の借金のせいで、今現在ヤクザに追われている。
その親はというと、俺を捨ててどこかへ行ってしまった。
朝起きたら家具は無く、借金は君に任せたという紙だけがあった。
俺は昔の記憶が無く……と、いうか一年前から全て飛んでいる。
満17歳で、今年で18になるのだが、うっすら覚えているのが旅。
色んな所を旅してきた。転々とたらい回しにされていたのかもしれない。
だから、今の親が本当の親かどうかは分からない。
あんなクズ共が本当の親だとは思いたくない、って方が正しいか。
そうであってほしい、という思いはある。
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