さよならが言えないから

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今夜夢で逢えるのは誰なんだろう。 そのすべてが愛おしくて。 今この胸の溢れる想いの先が『あなた』であったら幸せなのに。 どうして『あなた』じゃないいんだろう。 この想いが『きみ』を悲しませてしまったらどうしよう。 優しくしたいよ。 これが恋ならば。 優しさで包んで隠してしまいたいよ。 この世のすべての苦しみから『きみ』を隠してしまいたいよ。 『きみ』が望んでいないことはわかっているけど。 季節が通り過ぎて、止まってくれなくて。 この気持ちを嘘だって言ってほしい。 これまでの日々を『あなた』と過ごした。 愛せなくて、恋にならなくて。 でもあなたを一番大切に想ってる。 この気持ちを嘘だって言ってほしい。 愛せないこの気持ちを、恋しくて眠れぬ夜を抱けない私を。 どうか嘘だといって。 恋におちた。 あの寒い冬の日に。 木々から降る粉雪に胸を躍らせながら。 『あなた』が想ってくれた自分を愛してやまなかった。 決して嘘じゃない。 想いと想いに差があったとしても。 『あなた』に恋をして。 『きみ』に出会えた。 これが愛なら儚く散る夢に。 これが夢なら冷めないで。 現実の私の罪。 さよならを言えない日が続く。 どうか神様。 この罪をお許しください。
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