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店を出ると、辺りはまだ薄暗い、樋口は時計を持っていないので時間を確かめられなかった。
竹林がざわざわと音を立てる。まるで何かを語っているかのようだった。
樋口は満月を見上げながら家に向かっていた。すると、背後からカツカツと足音が聞こえてきた。
樋口はその間は気にせずに歩いていた。すると、さっきまで道を明るく照らしていた街灯が、ブブブブブと音を立て明滅し、思いついたようにまた明るくなる。そしてまた明滅する。蛾が羽ばたきを乱す。
「なんだ?」
先の街灯も同じような現象が起こっていた。樋口は思わず立ち止まる。カツカツと足音が近づいてきた。
チリンチリンと、鈴の音も微かに聞こえてきた。
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