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大塚さんとは歳が四つ程離れている。
樋口が大学に通っていた当時は漫画家として週刊誌に連載していたが、謎の不祥事により連載を打ち切りになり、今はぷう太郎を満喫している。
いつも着用している工場服は前の住人が置いていったもので、ネームプレートには嘉山と書かれている。
「樋口、後ろの猫はなんだ?拾ったのか?」
「猫?」と樋口は後ろを振り返る。一匹の黒猫が尻尾を振りながら付いてきていた。
「なんで黒猫が」
樋口はしゃがみ込み、猫の頭を撫でる。首に付けていた首輪の鈴がチリンチリンと微かに音を立てた。
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