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休職している会社の人や、一門との仲立役である滝本、団体の斎藤師なども見舞いに来てくれた。
精神病を患って入院する事になった祐太郎に会社員や霊能者など務まるはずもなく、祐太郎は申し訳無さに小さく縮こまって詫びた。
「すすす…すみません…」
──だから…辞めたいって言ったときに…スグに辞めさせてくれたら…良かったんだ…
詫びながらも、心の片隅でそう周りを責めてしまう。
卑しい自分に気付いていながら、こんなに素直に自分の心を受け入れる事をずっとしてこなかった事に驚きもしていた。
いつでも杉浦家を継ぐ一人息子という立場と、何よりもの誇りである瑞啓一門の末の直門という立場に気を張っていた。
それは、喜びだった。
生き甲斐だった。
励みだったはずなのに…。
一門の霊能の窓口として多忙を極めていた時期に、お構い無しで祐太郎の生活を乱しに乱してくれた花子。
あの頃から、祐太郎の中で何かが軋(キシ)み始めたんだろう。
距離を取ろうとしても、周囲を脅迫して逃がしてくれなかった。
もうそれからは徐々にでも着実に心を崩されていったと思う。
その内、誇りに思っていたものが重荷に感じてしまうくらいに心が疲弊してしまって…。
花子が自殺をしてしまったのがきっかけで、一気に倒壊してしまったんだろう。
慶太と美佐からの贈り物に泣きながら、お見舞い来る人たちに小さく縮こまって謝罪した。
祐太郎があまりにも申し訳なさそうに謝罪をするものだから、祐太郎をどんどん追い詰めてしまっている気がして…。
気付けば、最初はよく見舞いに来てくれた会社の人も来づらくて来なくなってしまった。
その会社を退職する事になり、叔父夫妻が手続きをしてくれた。
祐太郎の意識は飛び飛びだ。
ずっと泣いていた記憶しかない。
祐太郎の意識は白濁としていたが、主治医になった凱や靖も含めた鎌倉杉浦家の面々は忘れたくても忘れられない。
「なにやってんだ…。
なにやってんだょ…俺は…」
壁にガンガン頭を打ち付けながら、額から流れる血と瞳から流れる涙でベチャベチャになった祐太郎。
「いやぁっ!!!」
「やめろっ!ユタッ!!!」
咄嗟に明美と靖に取り押さえられて、廊下で血と涙にまみれて呆然と天井を見上げる祐太郎。
少し目を離すと自傷行為を始めてしまう痛ましい祐太郎を見て、叔父夫妻は地獄を味わった。
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