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こんなに守ってやろうと心を砕いてやっても聞く耳を持たないなら、一度地獄に叩き落としてから実際に後悔させてみようと決意した祐太郎。
協力してくれていた団体の先生方からの忠告を無視して、固く猛反対されていた花子の霊感を独断で開かせてしまう。
本当に後悔して心から反省する機会を与えてから、祐太郎の全力で救い上げてやろうと心に決めていた。
怒鳴り込んできた少女花子。
欲しかったものが、思っていたのとは違うから…と。
自分が望んでいた霊感というものは、こんな薄気味悪くて気持ち悪いものじゃなかったから…と。
一度開いた霊感は、アレルギーに似ている。
発症してしまったアレルギーは体質になってしまうように、一度発現した霊感も体質になってしまう。
その事を教わっていた花子は、言った。
「消しちゃうなんて、もったいない!」
念願の霊感を開いた花子は絶叫した。
「閉じ方じゃなくて、こんな力…消してください!」
自分の霊感を開いたのは祐太郎なんだから、責任を取れと半狂乱で怒鳴り散らす。
祐太郎がどんなに心を込めて説得しても、ただ自分の希望を祐太郎に押し付ける事しかしない少女花子。
多くの人を悪霊を使って脅迫などしてまで手に入れた霊感に絶望し、自らの人生を悲観して嘆いた花子は…。
祐太郎に復讐するように自殺をした。
遺された者が負う、深い心の傷を判っていながら…。
だから…、彼女の復讐は成功したと言える。
悪霊となった花子を、一度導き子にした師としてなんとかして昇天させてやろうと奮闘する祐太郎。
しかし、花子に対して引け目を感じてしまい、ここぞと言うときに強く出れない。
そんな祐太郎に、花子を浄霊してやれるわけがない。
瑞啓大師の最後の全力で授けてもらった浄霊が満足に出来なくなってしまった祐太郎は、花子を昇天させたら霊能者を廃業する決意を固めた。
夜な夜な花子を呼び出しては、浄霊を試みるも失敗を繰り返す。
花子の死を思うと、師として未熟だった自分が悔やまれて眠れなくなった。
体を壊しては大変だと食べているうちに、徐々に過食の傾向が強く現れるようになってきた。
いま、一門の宝とまで呼ばれた、若くして聖者の集団に名を列した彼が空前絶後の闇の力に囚われようとしている。
少女花子の復讐が完成するまで…、あと少し…。
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