家族の条件②

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額を傷付けた痩せ細った祐太郎がベッドにチョコンと座らされている。 そんな彼の額の傷に、凱が人差し指で軟膏をヌリヌリと塗ってくれている。 「ユタだから大サービスなんだぞぉ~? 普通はナースにお願いしちゃうんだけど、ドクター直々に傷の手当てなんて! ──まぁ…ベテランナースの方が新米ドクターの俺よか上手かもしんねーんだけど… まぁ…、気にすんなっ!」 カラッと明るく笑いながら言う凱に、祐太郎もつられて少し笑って返す。 「おっ…俺には…、がっがっ…凱の方が…きっきっきっ…効く気がする…ょ…」 「アハハ!そっかぁ? なんか指先から特殊な粘液とか分泌してたりな?俺ってば!」 「はは…。 粘液のほ…他にも…、んび…ビームとか…でっ…出そうだ…。 はははは…」 「既に人類じゃねーなー、俺…。 おっし! これでバッチリだ! そんで、これは俺からのプレゼント! ちょうど渡そうと持ってきた日に、こんなケガしちまいやがってよ!」 凱が取り出したるは…。 「…………へ?な…なに…?」 祐太郎がキョトンと見詰める先には、ピコピコハンマー。 「ピコピコハンマーだっ☆」 ピコピコハンマーだった。 「ピッ…ピコピコハンマー…?」 「おぅ。 ピコピコハンマー」 しかも、すんごいチャチィ。 「ユタ。 それでオデコを叩いてみ?」 「──なん…なんで…?」 戸惑う祐太郎。 「いーから。いーから」 よく判らなかったが、親友で主治医でもある凱に言われるまま、手渡されたピコピコハンマーで手当てをしてもらったばかりの額を叩いてみた。 ピコ…。 中分けの前髪の下から覗くオデコのガーゼ。 その風情で「だから…どうした…?」という怪訝な視線で凱を見上げる祐太郎。 「もう一度」 「──ぇ…?」 「もう一度」 ピコ…。 凱が言うから、言われた通りにもう一度額をピコピコハンマーで叩いてみたら…。 「──ぷっ…」 不意に靖が吹き出した。 「もう一度」 「ぇ…」 困りながらも、凱に言われるままに…。 ピコ…。 「ぷぷっ…! やっだ…。 なんか…ユタ…可愛い…」 明美まで笑い始めた。 ピコ…。
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