『Ⅰ.営業員 雷』

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8月の北海道。 最高気温が29℃にもなったその日、ぼくは黒いスーツに身を包んでいた。 周りも黒服の人たち、 ぼくは、葬儀場にいた。 一昨日のことだ。 母方の祖母が亡くなった。 連絡は突然きた。 真夏の天気の日。 仕事が終わる30分前。 携帯のバイブが鳴り、ポケットから携帯を取って着信相手を見ると父親からだった。 とっさに休憩室に入り電話をとった。 「もしもし?なんかあった?」 その父の声はいつもより鈍よりと暗く感じた。 「あのよ…今施設から連絡があって…祖母ちゃん……亡くなったんだと…」 それを聞いた途端、 ぼくの頭に祖母の情景が過ぎった。 すぐに事情を会社に説明し、時間を切り上げ、病院に向かった。 そして病院の玄関で父親と合流し、個室に入った。 その姿を見た瞬間…、 まさに衝撃が走った。
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